もし、TPPについてインタビューを受けたら、正直に「分からない」と答えるしかない。無関心でも、無知でもないつもりだが、分からないことへの説明があまりにないからである。

特に、賛成派の説明が分からない。以下は、ツイッターで見た遣り取りから
 111120某氏(特に有名人ではないと思う)

世間の人が賛成派より反対派の意見の中に真理があると思うから皆が反対派に賛成しているのだと思います。賛成派は抽象論を止めて具体的な真理を示すべき。そうしなければいつまでたっても支持されませんよ。
この意見に対し、アゴラ主宰者の池田信夫氏は、
   抽象的な真理より具体的な嘘を信じる大衆・・・
このようにいなした。
凡人の私には「鼻持ちならぬ態度」と思うが、TPP賛成派にはこの手の人物が多い。
私が「分からない」という理由は、賛成派が「貿易のメリット」ばかりを説いて、非関税障壁に対するISD条項の恐怖を軽視するからである。

アゴラが掲載した松本氏の意見では、下記のようにISD条項を述べている。
 111121アゴラ
 松本 徹三「オリンパス問題の背景にあるもの」より、抜粋

ISD条項については、論じ出せば長くなるのでここではこれ以上触れないが、日本国内でのビジネスについては日本の国内法が優先されるのは当然の事であり、民間の通常の契約にはその事が明記されているのが普通だし、投資家もそれを前提に投資している筈だ。しかし、投資の時点ではなかった法令が後から施行された場合は、その法令自体が、憲法、民法、商法、その他の「以前から存在していた国内法」で保護されていた投資家の権利を害さないかどうかが論点になる。ISD条項は、「日本人や日本企業でなくても、この様な論争を法廷で行える」事を担保する「手続き条項」に過ぎないと私は理解しているが、間違っているだろうか?
氏が言うのは、ISD条項が問題にするのは「事後法だけ」としている。この意見は、ISD条項を知らなかった野田総理と同レベルである。

アメリカと、FTAを結んだカナダやメキシコが、ISD条項で酷い目にあったのは、従来からあった国内法を「不利益」と訴えられ、賠償と同時に「国内法の変更や廃止を余儀なくされた」ことである。韓国で、FTAの批准が遅れているのは、国内の健康保険を廃止する必要があることが大きく響いている。決して、事後法の問題ではないのである。

この手の知識人が〜抽象的な真理より具体的な嘘を信じる大衆〜といって、亡国への道を作っていく。