dogfight高松の長すぎるひとり言
2000年5月

不思議な思考散策点描GW後半政教分離視点生活の保証今日1日仙人の話忙しくて!悔しくてDVDプロ野球開幕民主主義と神の国九頭竜川無呼吸症候群検査編20年前の手紙氷河期の就職戦線
000503(水)憲法記念日不思議な思考
愛知県下で、高校生による主婦殺人事件がありました。動機は「人を殺してみたかった」と言うものです。こんな動機で殺されては堪ったもんじゃありません。

日曜日のトーク番組を見ていたら「どうして人を殺しては行けないのですか?」と言う質問を受けた話が紹介されていました。この質問の延長に愛知県の事件があるように思うのは私だけでしょうか…
唖然する質問であり事件ですが、その影に隠れているものに「我が身に置換えて考えてみる」習慣が無くなったことが上げられると思います。「どうして人を殺しては行けないのですか?」と言う質問に「じゃあ、あなたは『殺され』てもかまいませんか?」と問い返したらどう反応するでしょう。

少年法と並び『過保護に育てられた』と言う問題点があるように感じます。悪いことは『理屈抜きで悪い』と教えられて育った私には、やっと「ママ」が言える程度の幼児に「こんこんと理を説く」親が不思議に思えてならないのです。暴力賛美をする訳ではないのですが、私自身を振返るとき「痛みと共に」大切なこと憶えています。

私は性悪説かもしれません。
仕事を例にしても、クライアントが真剣になるのは「出費」を伴ってからです。業務に対し、費用が発生するのは当たり前のはずなのに、「アイデアはタダ」と思っていらっしゃる方がとっても多いのです。いやなことですが「ここからは有料でなければ出来ません」と言う申し出は、本気かどうかの試金石になります。さらに支払いが実行されると「目の色が変わって」真剣になります。
お金を「痛み」に置換えるとよく分かります。
(心を傷つけないように配慮は当然必要ですが)子供に「痛み」を教えることって、そんなに悪いことなのでしょうか?痛みを知っていたら「簡単に人を傷つける」なんてしないと思うのですが…

000504追記
若者の無軌道な行動を「不思議な思考」として書いたら、またまた仰天動地の出来事が起きました。
17歳の少年が、精神病院仮退院のその日に『バスジャック』をしたのです。
包丁を突きつけ、バスを乗っ取り「死者1名を含む死傷者6人」を出す惨事となりましたが、15時間後に強行突入により犯人は逮捕されました。少年は、少年法と「精神障害」と言う2重の壁で守られ『無罪確定の犯行』です。ただ、弱者のみを人質に取りスタンガンを要求するなど、計画的知能的行動も目立ち、決して「知的障害者」ではありません。いわば、流行の「心を病んだ少年の一人」と言ったところです。


日頃「加害者の見方」であるマスコミも『警官隊突入が遅すぎた』と言った批判しています。また、アメリカのスワット並に「狙撃」で事件を終わらす「早期決着が必要ではないか!」と言う、勇ましい有識者の声も出ていました。ただ、早ければ「粘り強い説得もせぬままに突入」と批判されることも確実で、相変わらずの身勝手と言うべきか。
目に余る「少年の凶悪犯罪」に対して、尚且つ「少年法改正に反対」する進歩的知識人の方達にお願いしたい。観念論ではなく「いかなる方策で改善できるか」具体的な方法を示して頂きたい。
000504(木)散策点描
連休の1日だけ『お休み』を頂き、散策に行ってきました。
京都「蹴上浄水場のツツジ」の呼び声に誘われて行ってみましたが、ツツジは「ちらほら」で、今年は大きく出遅れているようです。

疎水に沿って南禅寺の境内に…
山門で豊橋の岡本さんと待合せ。南禅寺のホームページで見ても「山門」と「三門」の表記が混乱しています。三門は、寺の正門に相当します。柱と柱の間を「間(けん)」と呼びますが、古来より三門とは「三間の門」の意味で、多くの寺院が三間で正門を作っています。しかし南禅寺は五間で構成されており「山門」が正しいかもしれません。

南禅寺から永観堂へ
8年ぶりに訪れた永観堂の大きさに驚きました。記憶ではこじんまりとしたお寺だったのですが…新緑の柔らかい葉もあれば「青葉」に変身した紅葉もあります。時の過ぎ行く早さを感じます。池では人馴れした「水鳥たち」が、池から這い出し観光客に餌をねだっています。私も「くずきり」を出したのですが、彼女達にはお気に召さぬようです。

永観堂に別れを告げ「哲学の道」へ
疎水の両側が桜並木となっており、誰が付けたのか「メルヘンチックな名前」です。連休とあって静寂は無く「哲学を思う」にはやや騒がしい道です。
途中から脱線し、安楽寺に向かいました。

岡本さんとdogfight

法然院

安楽寺は、法難にあい死んだ「住蓮上人安楽上人」を偲び、法然上人建立の寺だそうです。皐月やツツジで構成された小ぶりの庭がとっても似合うお寺でした。萱葺きの門に至る階段が素晴らしく「京の美しさ」の要素を全部兼ね備えた…そんな門でした。
静寂住宅が立ち並びます。と、あるお宅に素敵な花が…
始めて「リラ」の花を見ました。小さな花で、まるで籠を編んだような感じです。正面に薄ピンクの可憐な花が、壁を埋め尽くすように咲いています。お家の方に名前をお尋ねしたら「テッセン」とのこと。余りの見事さにため息が出ました。風見鶏や鳥篭、ランプに表札と、金属細工の品の良い小物が目立ちます。どうやらオーストラリアにお住まいだったようで、豊かな生活感が漂うお宅でした。
法然院から銀閣寺へ
商売熱心な銀閣寺「時間が余りございません」と熱心な呼び声に誘われて入りました。ラッシュアワー並の行列で「トコロテン」の如く押し出されて帰りました。人ごみの銀閣寺ですが、昔から一番好きなお寺です。予算不足で「銀箔」を貼ることが出来ませんでしたが、銀箔の銀閣寺を「美しく想像」しました。
何時の日か、銀箔を施された銀閣の楼上で「月見酒」なんて!いいね〜

なぜか京都で「スペイン料理」を食べ、サングリヤで「へべれけ」になりました…
000507(日)GW後半
京都散策に行ったことまでお話しました。どうもその後が宜しくありません…

 000504前兆
夜中から腹具合が悪い
私は、香辛料を多く取ると決まって下痢になります。普段はできるだけ香辛料を避けているのですが、ニンニクやオリーブオイルの無いスペイン料理などありえません。これが、また美味しいのです。つい暴飲暴食につながります。夜中に何度かトイレに行き「それなりにサッパリ」したつもりでしたが、これが前兆でした。
午後からの打合せを済ませ、仕事場(自宅)に直行。ややシンドイ。早めに切り上げ眠る…

 000505鬼の霍乱
早朝、トイレに駈け込む。
猛烈な下痢。食欲無し。好きなコーヒーも飲まずにコンピュータの前に…
しかし、体調すぐれず思考力無し。午後になるも食欲無し。
『もうだめ…』と思った瞬間が「ダメ」でした。そのままに横になったのですが、病状は悪化の一途。夕方、懇意な先生にお願いして診察治療を…

点滴を受けながら、医学四方山話。
・ 歳と共に「膝を悪く」する方が多いのですが、医学の世界で「正座は良くない」とされているそうです。でも、正座をしないアメリカ人(白人)が最も『膝の関節炎が多い』そうです。
・ 高血圧の多い日本人。原因は「塩分取りすぎ」とかで、「減塩食品」は錦の御旗となっています。ところが、世界で最も「塩分を取る」と言われる、フィリピンのある部族では、まるで「高血圧病が無い」そうです。
どうも、医学の常識も「日本の常識」が多いようです。

 000506徹夜
治療の効果と、静養で幾分楽になりました。
ただ、依然「食欲が無く」結局『40時間の絶食』となりました。
体が楽になるのと引き換えに「仕事が気になり」ます。貧乏性なのです。取りあえず『平面計画』の提出が明日(7日)の午後と言う約束です。勿論、何も出来ていません。
ものは老人保健施設、「医療法人が扱う老人施設」です。特別養護老人ホームが『終身介護』であるのに対し老健施設は『一時介護』です。痴呆性の老人が多く、平均入所期間は3ヶ月程度だそうです。

最近の研究結果によれば、痴呆老人でも健常者と変わらぬ『羞恥心』が存在します。京大グループにより、新しい「痴呆性老人の人権を重視した施設のあり方」が提唱され出しました。厚生省もこの方針を後押ししており、今後の趨勢を左右する提唱と言われています。それは「グループ介護」と呼ばれる方式で、7〜9人を介護単位(ユニット)として、態勢を構築するものです。
ユニット方式の事例が少なく、何よりも老健施設は初体験、それに最悪の体調が重なって辛い徹夜となりました。

 ちょっと寄り道
作家楡周平氏の最新作「クラッシュ」は、こんなストーリーです。
愛情のもつれから復讐を誓う「高名なプログラマー」が、コンピュータウイルスをばら撒き世界中を震撼させると言うものです。
昨日「I love you」と言うコンピュータウイルスが猛威を奮い、『世界中で大混乱が起きている』と報道されていました。まるで、小説の世界が目の前に現れかのようです。
「I love you」は、画像と音楽データを狙い撃ちし、侵入したコンピュータ内にあるアドレスに向け、自分でウイルスを送り付けると言う『自己増殖型』です。我が国では連休にもかかわらず2日間で5万件の被害が出ているとか!連休が明け、会社宛てのメールの開いたら「I love you」かもしれません。ご注意を…
被害も急速でしたが、犯人探しも早いもので「フィリピン青年」が容疑者として上がっています。

長男は、次世代の「大容量高速通信システム」開発の国家プロジェトに参加しています。連休を利用して、任地の高知から帰って来ていました。この「I love you」の話をしていたところ、『ウイルスなんてビックリするくらい簡単に出来る』と言い出しました。どうやら「行使したことは無いけど…作ったことはある」ような雰囲気でした。どうも、コンピュータウイルスは「能力より自制心」に懸かっているようです。

 000507打合せ
最悪のコンディションにもかかわらず「結構いける」案が出来ました。
続いて立面断面さらに「室別面責表」までいかなければなりません。立面図を書く前に、クライアントご希望の「沖縄風」の研究(予定地は沖縄)があります。
安直な私は、沖縄観光パンフを集めれば雰囲気が分かるだろうと「たかを括った」のですが、これが大間違いです。観光パンフには「国籍不明」のリゾートホテルの写真ばかりで、沖縄の「風光」紹介がまるでありません。つまり、重たい思いをして「収穫無し」です。
でも、何を参考に沖縄観光に行くのでしょうか?不思議ですね…
000510(水)政教分離
昨日「法の華三法行」福永前代表が『詐欺容疑』で逮捕されました。新興宗教の教祖が逮捕されたのは、最近では「オウム真理教・麻原教祖」に続いて2人目です。
「法の華三法行」「オウム真理教」とも、これだけマスコミで騒がれ「罪状」を暴かれているのに、入信者が後を絶たない状況だそうです。誰でしたか「宗教は麻薬だ」と叫んだ人がいましたが、言い得て妙ですね。

冷戦が終わり「これで世界は平和になる」と唱えた進歩的文化人の願望をよそに、地域(民族・宗教的対立)紛争が、まるで吹き出物のように広がっています。大国と言う重石が取れ、見境の無い争いが増えてしまいました。
ある本を読んでいたら、ハンチントン教授が「西洋の驕慢・イスラムの不寛容・中華文明固有の独断」と、紛争原因を簡潔に述べていました。冷戦後の世界で起きている地域紛争の根本理由をこれだけ簡潔に言えるものかと感心しました。特に、最近ではイスラムを軸とした『宗教的対立』が民族浄化を伴って吹荒れているように思えます。
我が国ように『ファジーな宗教感』では理解しがたいのですが、イスラム(宗教)を巡る攻防は只只「不寛容」が目立つばかりで、「人を救う道」としての宗教の姿は外野からは全く見ることが出来ません。
冷戦時代、常に危機感に包まれていましたが、終わってみれば「死者のいない戦争」であったことが分かります。それに対し冷戦後の地域紛争はなんと「死者が目立つ」ことか。

我が国では、戦後の新憲法で「政教分離」が明文化されました。
政教分離発祥の地であるヨーロッパの歴史は、宗教による「政治への干渉」の歴史でもありました。余りの酷さに「政教分離」の原則を作りました。しかし、我が国では、「政治が宗教に干渉しないように」と理解されています。
外国に見るような『宗教戦争』は我が国ではありませんが、政教分離の原則が何時のまにか宗教団体への「及び腰」を招いてしまいました。
オウムのような殺人集団は論外としても、「法の華三法行」「理想の科学」と言った、宗教に名を借りた『エゲツナイ営利団体』がまるで魑魅魍魎のように跋扈しています。『信教の自由』は保障されるべきですが、宗教法人の『治外法権扱い』は是正されるべきではないでしょうか。
000512(金)視点
老人福祉施設の勉強を始めて7ヶ月になりました。
どれだけ「お年寄」の視点に立てるか自信はありませんが、健常者と違う視点をご紹介します。

 ランク分け
違うランクが混在することを、酷く嫌う傾向があります。
私はケアハウス(軽費老人ホーム)を担当していますが、類似施設で「高齢者福祉施設」があります。違いは、ケアハウスが『自己負担できる人』であるのに対し、高齢者福祉施設は『生活保護』を受けている人のための施設です。建築的内容に何の変わりも無いのですが、両者が混在することは、施設そのものが敬遠される原因につながります。
同様に「特定施設入所者生活介護」があります。これは、ケアハウスの住人で『介護が必要』になったっ場合の一時介護施設です。これもケアハウスと混在させると、施設そのものが敬遠されます。お年寄の心のキャパスティーは案外狭いと考えた方がよさそうです。

 視線位置
お年寄の視線が若者より随分低いことをご存知ですが?
表札や施設案内ディスプレーを、若者と同じ高さで設置するとまるで役に立ちません。郵便受けや下足箱なども、「若者の視線より30cmは下げた」方がよさそうです。

 何時も初対面
痴呆性老人の記憶時間は『5分程度』だそうです。だから、自分の部屋に5分以上いれば、会う人は全て「初対面」になってしまいす。部屋のデザインもしかりで、画一的な作りをすると「自分の部屋がわからない」ことなどザラに起きてしまいます。施設設計では、意識的に目印となるイレギュラーを演出する必要があります。

 『引く』文化
「2ウエイドア」という商品が開発されました。
これは、公衆電話BOXの腰折れ戸をご想像頂ければ分かりやすいと思います。公衆電話BOXに入るとき『押せば』入れます。出るときは『引いて』出ます。「2ウエイドア」は、進行方向に「常に押せばドアが開く」と言う画期的なアイデア商品です。早速採用しようと思ったのですが、メーカーから危機情報が流れてきました。それは…
痴呆性老人は『本家帰り』するようで、押さずに『引いて』しまい、ドア機構が壊れてしまう事件が相次いでいるそうです。
我が国では、鉋(かんな)も鋸(のこぎり)も「引いて」パワーを出します。しかし、世界的に見れば「日本文化はイレギュラー」と言えそうです。諸外国が『押してパワーを出す』のに対し、日本文化は『引く文化』と言えます。パニックに至れば本能で行動し、それが『引く文化』とは面白いですね。

 オバケ
痴呆性老人は、鏡に映る『我が姿』を見ても「自分」と言う認識を持たないそうです。だから『鏡に映った我が姿』に攻撃を仕掛けることが多いのです。老人福祉施設では「鏡現象の防止」が重要な課題となります。

 羞恥心
鏡に映る我が姿さえ分からない痴呆性老人でも、「羞恥心は健常者と全く変わらない」という研究報告がなされています。『どうせ分からないだろうから…』と言った安易な設計は厳に慎みたいものです。
000514(日)生活の保証
何時の時代も「でもしか産業」があります。
「○○
でもなるか」「○○しかなれない」の意味です。言わば、産業別労働人口の調整役をしています。戦後、復員する兵隊さんを吸収したのは国鉄(現JR)でした。その後、炭坑・鉄鋼と続き、この十数年は建設業が「でもしか」を吸収してきました。
私は、建築の世界に入って35年経ちますが、「我が世の春を謳歌した」のは、バブル期の5年ほどです。永く「でもしか」を吸収してきました割りに、体力のある産業とは言えません。私自身、昭和40年にこの世界に入り、わずか半年で「人員整理」の対象となりました。また、第2次オイルショックに耐えきれず「失業」したのが独立のきっかけとなったほど「安定」とは縁の無い生活をしてきました。
※建設業界は裾野が広く、末端にいけば「単純労働」が多く、特別の技術を要しないことが「でもしか」の温床になっていると思います。
今は、バブル崩壊後の長期不況に喘いでいます。世間の景気は『上向き』とのことですが、建設業界が蘇ることは当分ありそうもありません。「でもしか」の受入れどころか、この業界で200万人にも及ぶ過剰労働人口を、おそらく5年間くらいで放出しなければ生き残れません。つまり、対外的には長期不況に対処し、同時に内部でのサバイバル戦い抜く必要があるわけです。

私が口癖のように言うことは「楽して儲けたければ建築屋は止めろ」です。今後生き残るには、
 ・根っから建築が好きで、不安定な状況に耐えられること
 ・勝ち残れるだけの技術力を持つ−
こんな必要があると思っています。いつかこのサイトでも書いたことがありますが、私は自分の意思で(自由と引き換えに)不安定を選びました。

お蔭様で、受注量は数年間安心できるほど確保できました。ただ…
建築設計事務所は、仕事と収入に半年から1年のギャップが出ます。これが「簡単に潰れない」理由でもあり、景気回復が「すぐ収入に繋がらない」理由にもなっています。
昨年末、苦渋の選択として所員を切りましたが、やっと受注量を確保して「帰ってきて欲しい」とメッセージを入れました。ただ、収入が連動していません、だから年内は経済危機が続きます。そのため、各種保険の加入が今すぐ出来ません、条件は『来年から保険に加入』というものでした。しかし、彼からの答えは「保険が無ければ…」というものです。

悔しいけれどやむを得ません。家族を抱える人に無理強いは出来ません。彼の生活を保証できない私が「能力不足」なのです。
彼からメールが入った日、家内に感謝しました。思えば、私の我侭に家族を巻込み、私の生甲斐のために家族に苦労をかけたことを。そして、私について来てくれた家内と家族に…「ありがとう」
000515(月)今日1日
 ISDN
踏ん切りのつかなかったISDNをついに入れました。
朝9時、NTTから職員が来て「切換作業」をしてくれました。と言っても、TA(ターミナルアダプター)を置き、電話で「切換をしてください」と連絡して終わり。何の設定をしてくれる訳でもありません。マニュアル片手の設定もよいのですが、念のため「助っ人」に来てもらい設定をしてもらいました。事務所の方が昨年末にISDNに切換えその速さは体験済みなのですが、「画像データの速さ」など感激です。

 手配
昼に出勤して、土日で処理した仕事の発送手続きです。あるものは宅急便や郵便で、あるものはデータで…明日の打合せ準備も万端です。

 歯の手術
3度目の抜歯です。
最初は「あっ」と言う間の出来事でした。2度目は、左下奥歯と同親知らずの2本です、それでも合せて7分と言う早業でした。

今回は左上奥歯1本の予定でしたから、至極簡単に抜けると思っていきました。
4年前大枚12万円を掛けた金のブリッジを切断し、最も奥歯を抜く予定でした。ところが、レントゲン写真を前にして「隠れて見えませんが、更に奥に親知らずが映っています。今日はこれも合せて抜きます」とのこと。悪い予感です…
奥歯が抜歯中に折れてしまい、残骸を綺麗に抜くのに難儀しています。幸い今日は麻酔が良く効いていて「痛くない」のがありがたい。でも、悪い予感敵中です…
さて、いよいよ「隠れている親知らず」の番です。
まず、メスで歯茎を切り開き作業開始ですが、まるで抜ける様子がありません。「想像と違っていた…」と言うドクターの苦渋の呟きが聞こえてきます。レントゲンではよく分からなかったのですが、顎から真横に生えており、想像以上に大きく頑丈だったようです。次から次えと器具が指定されていくのですが「埒があきません」ついに「方法を変えよう」とドクターの決断。
いずれにしろこのままでは困ってしまいます。目を瞑っていて見えないのですが、感触と音で『電動鋸(のこぎり)』のようなもので、生えたままの歯を切断し始めました。分割しておいて「力任せ」に引きぬこうと言う方法のようです。
アゴの骨が軋みます。激痛が走ります。
激闘激痛30分。 服からズボンまで血が飛散る荒療治となりました。今日は手術でした。ここは間違い無く「口腔外科」なのです。今夜はかなり痛みそうです。熱も出そうです。「風呂とお酒は止めてくださいね」看護婦さんの説明が虚しく聞こえます…
 アウトソーシング
抜歯後ある会議に出席する予定でした。しかし、荒療治の後でそんな元気はありません。かおりに「キャンセル」の電話を入れてもらいました。
会議の内容はアウトソーシングについてでした。
某スパーゼネコンが本体と切り離し「設計事務所」組織を作りました。設計部を発展的に解消し移行していく母体かと思ったのですが、そんな様子はありません。どうやら、不況下にあって最も元気な「老人福祉」に目をつけた行動のようです。「老人福祉」施設は、お国や行政の助成を受けて行う補助金事業のため、ゼネコンの設計施工で受注できません。そのため「隠れ蓑」が必要になります。
設計と施工を分離する隠れ蓑の設計事務所と言えども、そこはスーパーゼネコンです、一味捻ったものにしました。仮に隠れ蓑設計事務所を『A』とします。
 1.下請けとなる設計事務所は、A社に登録します。
 2.審査に通るとアクセスコードが送られてきます。
 3.アクセスコードで、A社の計画物件に接続できます。
 4.下請け事務所は設計費用を見積もり、A社の入札に参加します。
 5.選択された下請け事務所とA社の間で契約し、設計スタートです。
全てはネットで行われ、ヒューマンな出来事はありません。打合せも図面納品もネットで行われます。
と、まあこんなシステムなのですがうまくいくのでしょうか?ネットで入札に参加すると言っても『程度』がまるで分かりません。
「A社に登録しませんか!」と言うお誘いが30社ほどに送られたようです。
そこで、連名で「詳しく説明して欲しい」と申し入れていたのです。それが今日でした。結局説明を聞くことは出来ませんでした、おそらく登録することは無かったと思いますが、「今後のあり方」として興味はありました。

 本の話
今朝から「田宮模型の仕事」と言う本を読み出しました。
こんなときに!と、思われそうですが、実は私もこんな状態で読めるもんだと感心しています。それほどこの本に『もっと読みたい』と駆られるところのものがあります。もう少しで読み終わりますが、戦後の廃墟の中から立上がった『逞しい日本人・研究熱心な日本人』の姿を見ることが出来ます。今の我が国に最も欲しい精神がここにはあります、感動の一編であることをお伝えします。

今は、痛み止めが良く効いており痛みから開放されています。しかし、口の中の不快感はどうすることも出来ません。この辺で、布団に入って休もうと思います。願わくば痛みの無い夜であることを…
000516(火)仙人の話
痛み止めを飲んで働いています。仕事は待ってくれません。

昔から、仙人は「霞を食べて生きている」と言われます。
「ならば私も仙人か!」と思っています。
慣れとは恐ろしいもので、余裕のあるときは運転資金が3ヶ月分を切ると心配になったものですが、自転車どころか「オートバイ操業」で、今月の給与を「数日前にやっと手配」といった生活をしていると、全てが平気になってきます。お蔭様で仕事は順調にこなしていくのですが、収入が半年から1年遅れてきます。そんな訳で「霞でも食べようか」と真剣に考えてしまいます。

今から3千年前、中国でのお話しです。
中国の考えでは「仙人」は天上と地上双方にいました。
余りに「数が増えた」と言うことで、地上の仙人を殺し『神』に仕立て上げようと言う陰謀が実行されました。我が国では余り知られていませんが、中国でもっとも人気のある「封神演義」と言う奇談(物語)です。主役は「太公望」で「天上に住む仙人」と組み、インドの仏様の力も借りて地上の仙人を大粛清したのです。
たいこう‐ぼう【太公望】
周代の斉国の始祖。本姓は姜、字は子牙。氏は呂、名は尚。初め渭水の浜に釣糸を垂れて世を避けていたが、文王に用いられ武王を助けて殷を討ち天下を定めた。兵書「六韜(リクトウ)」はその著と伝える。(上の故事から) 釣師の異称。
ちなみに、「封神演義」で作られた神様が、道教の神様や仏教の仏様になっています。
なかなか気宇壮大な物語で、魑魅魍魎が「仙人」として登場し怪しげ魔術を披露しています。お閑な折にでもぜひお読みください。
(ついでで、高松仙人の怪しげな文章もどうぞ…)
000520(土)忙しくて!悔しくて
 休息を乞う
老骨に鞭打つ程ではないのですが、酷く疲れが残るようになってきました。体力や髪の毛は「気分の若さ」ほど維持できないようです。朝食後二度寝をしたら11時になっていました。私の身体は休息を欲しているようです。
 ちょっとメルヘン
仕事に忙殺されてくると、全神経がそちらに注入されているようで「エッセイ&コラム」に思考が配分されません。さっぱりイメージが湧かず、こうして安物の日記みたいなことを書いています。
ホームページは1年と少しですが「エッセイ&コラム」は当サイトに上梓している以外にもあり、既に2年ほど続いています。思えば、エッセイ&コラムは『閑の裏返し』でもあるとつくづく感じています。最初の記録の表紙にこんなふうに書かれています…
 この数年忙しく
 暇になったら「エッセイ」を書きたいと思っていた。
 やっと時間ができ、書き始めた。
 しかし、次第に経営環境が悪化しはじめる
 「焦りは禁物」と言い聞かせ
 心の平静を求め、書き続ける。
 時に、日記や自伝になったりする…
まさに奔流のように書いた2年間でした。また、仕事三昧の時が巡ってきたのです。今は無理に書いたりせず、『充電』をしながら仕事に没頭しようと思います。

 教会見学
世界救世教と言う宗教をご存知ですか?
私も分からなかったのですが、「熱海に本部があり…」と聞いて、MOA(美術館)を思い出しました。記憶に間違いがなければ、岡田茂吉氏を教祖とした穏健な宗教だったと思います。

世界救世教神戸教会が竣工したということで、昨日見学にってきました。某ゼネコンの設計施工で、洋式の礼拝堂を持つのは初めてとのことでしたが、まだ「上履きに履き替えて」と言った施設でした。設計者から説明があったのち各自見学となりました。デザインは私ごときが敵う筈もないのですが、若い「建築家」の気負いとは別に経験不足を感じるものでした。設備の「見える部分」が全く整理されておらず、折角のデザインを台無しにしています。

どの部屋も、冷暖房・換気・照明のスイッチ、スピーカーのアットネーター(ボリューム調整)や、テレビに電話と言った「色も形も違うプレート類」が乱雑に配置されています。あれだけ内装材に神経が行くなら、その何分の一かでも「見える設備の整理(プレート類の統合)」に気を使えば、「もっと洗練されるのに…」と思ってしまいます。
特に、事務室など玄関ホールから丸見えなのに『裏方意識』があるのでしょうか?10畳ほどのスペースに20ヶ所ほどの設備プレートが散乱しています。おまけに各種警報盤や操作盤分電盤と言った、大きさも色も違う「箱物」が剥き出しで、所狭しと付けられています。盤類の収納壁を設け、床をフリーアクセスにすれば綺麗に整理できるのに、こう言う実利的なことには気もお金も回らないようです。どうも大組織の部門別設計の弊害(デザイナーが設備に口を出せない)も出ているようです。


以前、ある住宅で「見える設備」を設定的になくした設計をしたことがあります。何も内部だけではありません、ベンドキャップと言って「外への出口」もあります。これらを無くすことはできませんが、簡単な工夫で「視線から隠す」ことが出来ます。友人を集めて見学会を開いたのですが、参加者の感想は「爽やか」でした。
市井の建築屋と比較することは不遜ですが、「安藤忠雄先生」の作品には生活感を感じさせないくらい「見える設備」が消えていることをご存知でしょうか?先生の作品が洗練されて感じる重要な要素に、こんなことがあると私は思っています。
(こんなに長く書くつもりはなかったのに…帰りに中華街の「民生」で美味しい料理を食べてきました。見学会より、こちらが目的で行ったのに。かおりや友達を呼んで4人でグルメでした)

 特別養護老人ホーム
いったい私の「福祉漬け」はどこまで行くのでしょうか?
この世界は宝の山のようで、今度は「特別養護老人ホーム」の計画です。例によって、福祉チームから特訓を受け計画スタート。徹夜で案を作り、翌日「批判を受ける」と言った按配です。どの世界にもあるように、この世界にも『法則』があるようで、いま少しづつコツを飲み込んでいます。


福祉チームは、長男よりやや年上程度の若者の集団です。
福祉のあり方に口煩い連中ですが「建築」は私の方がプロで、これが始末悪いのです。建築関連法規など「まるでお構いなく」注文をつけてきます。彼らの描く『理想』が見えるだけに、法規との整合性を計るのに悪戦苦闘します。
福祉チームが付き合っている設計者は私だけではありません。多くの設計者に「福祉施設の(ソフト面の)あり方」をレクチャーするようですが、どうも私が最も鋭いリアクションを起こすようで、連中も「イジメがい」があるようです。別に「いじめられて喜ぶ」趣味はありませんが、「一生勉強」も結構幸せかと思っています。

 特許と製品開発
「000429バリヤフリーの現実」で触れたように、福祉・介護用品と銘打てば「値段がはね上がる」世界があります。そのくせ、案外有効な商品がありません。
私自身、ケアハウスの設計に着手して分かったことは、これだけ福祉施設が「宝の山」になっているのに、対応商品が恐ろしく少ないということです。

ケアハウスでは、多くの企業に『製品開発』を呼びかけています。

M電工は「サニタリーUNIT」の開発呼びかけに応じてくれました。トイレ・洗面・洗濯スペースを一体化し、シャワーも使え、乾燥室にもなる、また専用の電気温水器を合せて開発しようと言う欲張ったものです。これは、「ケアハウスの個室」や「老健施設の療養室」に採用できます。
某サッシメーカーでは、バリヤフリー専用サッシの開発に応じてくれそうです。これだけ、需要がありながら「電動車椅子で横断できる」既製品サッシがないことが不思議でした。
製品開発ではありませんが、関西電力と交渉したところ「ケアハウスの個室」をマンション並に扱うことをOKしてくれました。これで「施設全体の基本料金の按分負担」が不要となり「生活費の低減」が計れます。

某フリーアクセスメーカーから「バルコニーのフラット化製品」の開発はできないと言う連絡がありました。理由は、「特許が取れそうもない」とのことでした。

福祉施設では、バルコニーは重要な避難経路です。車椅子で、そのまま非難できる必要があります。非常時だけではなく、日常も「外出に変わる運動」としてバルコニーを周回できるように設計します。当然、従来の工法では不都合になってきます。第一にサッシのバリヤフリー化です。次が、バルコニーのフラット化(従来は水はけの傾斜があり、車椅子が走行できない)です。共に『水』と言う難敵と戦いながら目的を達する必要があります。こんな基本的な製品もないまま『福祉施設』が作られてきたことをどのように思われるでしょうか?
ただ、苦労の割りに『特許が取れるか』と言われれば辛いものがあります。特許が馴染まないほど「日常の出来事」なのです。


人間の生命に関することは「特許に馴染まない」とされてきました。例えば、難病の治療法が開発されても、特許化されたことはありません。しかしバイオ技術の発展が、この分野に「特許化の嵐」を呼んでいます。先日、日本とフランスの合同チームが「人21番ゲノム(遺伝子)の解明」を果たしましたが、特許を防止するため公表しました。
生命工学同様、福祉の世界に「特許の壁」を持込まないで欲しいと願っています。でも無理なことなのでしょうか…
000521(日)DVD
高知に居る長男からメールがありました。
今度帰る時、私の機械にDVDをプレゼントしてくれるとか! 私のマシンを組立てた本人だけに性能は良く知っており、DVDを取付ければ「映画が見られる」そうです。
私のマシンにはドライブがいっぱいあります。
MO・FD・CD・CDRにDVDが追加されるわけです。フラッシュパスを介してメディアカードも使えます。何でも出来そうな仕様なのですが、一番遅れているのが『私の技量』で、何となく「宝の持ち腐れでは…」と思わない訳ではありません。
時間をかけて「生かしたい」けど、その頃は「時代遅れ」かもしれませんね。まるで私が覚える「ヒット曲」みたいなお話です。

DVDと言えば、折角「再生モードの統一」を果たしたのに、録画モードの方式がまた分かれそうです。ビデオデッキの時のように「松下とソニー」が旗頭で、複数のメーカーが「双方に対応する」旨表明しています。シェア争いを有利に進めたいのでしょうが、少しは『消費者』を念頭において欲しいものです。
私のような機械音痴でも、デジタルビデオとDVDが融合すれば『プレゼンテーションの世界が変わる』くらい理解できます。方式が異なれば、発展を阻害するだけではなく混乱を起こすことを分かって欲しいものです。
000522(月)プロ野球開幕
我が愛する中日ドラゴンズの調整遅れから「プロ野球開幕」が遅れていました。
やっと調整が終わり打線投手陣とも活発となり、この10連勝(昨夜)で巨人と並び、首位で『開幕』に漕ぎつけました。ひょっとしたら「今年はプロ野球がないのでは…」と心配していましたが一安心です。

巨人は、例年以上にパワーアップしながら独走することを避けています。なんと奥ゆかしいチームなのでしょうか!
4月の「オープン戦」で元気のよかった阪神も、5月の声と共に『定位置(最下位)』に納まり、ファンも一安心と思います。
広島も、阪神に負けず「例年通り故障者の続出」となり、4月のオープン戦で息切れ現象です。
ヤクルトは、「巨人の足を引っ張る」ことに執念を燃やしているかの闘い振りで、4〜5月のオープン戦を盛り上げました。
横浜は大魔人の抜けた穴を埋めきれず、そのくせ大魔人は米大リーグで体たらくと言った「お互いに不幸」を背負っています。

ドラゴンズは、10年ピッチの優勝が相場で『2年連続』の経験がありません。しかし、星野監督には連続優勝と言う「新しいジンクス」を作って欲しいと願っています。
例年より遅れて、5月の下旬となりましたが「プロ野球開幕」をお祝いします!!!
000523(火)民主主義と神の国
森総理の「神の国」発言が格好の攻撃材料となっており、執拗な批判が続いています。
神の国発言がどのような流れの中でなされたのか?私自身承知しておらず、その場の雰囲気が分からないのですが、野党が攻撃しているように「天皇主権」の発言があったのでしょうか。
憲法で「天皇陛下は我が国の象徴」と明記されています。従って、我が国は立憲君主国であり、決して共和国ではありません。
私自身の感覚を申せば、天皇陛下の存在を誇らしく思いながらも、天皇親政を望んでいるわけではありません。いわば天皇陛下の存在は「心の心棒」であり、我が国の歴史を学びかつ誇りに思うならば、心情的に「神の国」と感じても不思議ではないように思います。

我が国は民主主義国家です。
民主主義とは「複数の価値観が存在する」ことです。しかし、聖徳太子の17条の憲法に見るように「和を持って貴しとす」と言う『全員一致』を最高とする考えが面々と続いています。
己が信じる価値観に基づき議論することは大切ですが、民主主義が複数の価値観を有する限り、どこかで『採決により』意思決定をする必要があります。しかし残念ながら、我が国では採決をすると「多数決の横暴」と非難されます。少数意見の尊重とは「全員一致」ではないはずです。私は、野党の神の国批判に、異なる「価値観の存在を許さぬ」雰囲気を感じています。

神戸沖新空港の建設を巡り、市長リコール運動が起きています。
しかし、30万人の署名を集める目標が五万人にも満たず「断念か!」と報道されています。マスコミは、神戸市民の「新空港不要論」を正義として報道しており、署名集め断念を意外な出来事と捉えているようです。
私は、神戸市民ではありませんが、仕事で度々訪れており、肌で感じる感想は「新空港歓迎」のように思います。さらに、兵庫県全域に視野を広げて考えれば「新空港待望論」であることをマスコミは理解するべきではないでしょうか。
(関空の立地は決してよくはなく、関西一円で考えるなら、神戸沖のほうがずっと利用されるだろうと予測できます。マスコミは広域でのアンケートを取り、サイレントマジョリティーの心を知るべきです)

ある出来事で賛成派と反対派が出来ました、健全な民主主義では当然の出来事です。
反対派を正義とするマスコミが「反対集会の報道しました」が、何時までたっても画面はパンしません。ズームダウンすると数人しか集まっていなことが分かってしまうからです。反面、賛成集会は報道されませんでした。
こんな出来事ってテレビを見ていると結構あります。旗幟鮮明にして報道するならよいのですが、「中立を装って…」は止めて欲しいものです。

神の国批判も、とかく「中立を装って…」少数の反対集会だけを報道するマスコミが煽っています。民主主義の国なら、「私は○○に賛成です」として報道するか、複数の価値観を是とするか、本当の公正が欲しいものです。
000524(水)九頭竜川
もう10年ほど前になります。北陸自動車道を福井ICで下り、九頭竜川に沿って岐阜県の蛭野高原まで、スキーに行っていました。その川の、私に残る印象は「あらぶる川」と言うものでした。
明治の頃、暴れ川で有名な九頭竜川に治水用ダムを作るため、オランダから技師が招かれました。その技師は「これは川ではない、滝だ!」と言ったと伝えられています。山陰に伝わる伝承民話「ヤマタノオロチ」より、頭数が多いほどこの川は暴れたのでしょう。
(ヤマタノオロチも、氾濫を繰り返す川のことであろうと言われています)

大島昌宏氏は50過ぎで新田次郎賞を引っさげ、処女作『九頭竜川』で文壇に登場ました。氏が活躍したのはわずか8年に過ぎませんが珠玉の名品を残してくれました。このたび、大手の書店に注文し、1ヶ月待って『九頭竜川』が手に入りました。
氏の生まれ故郷福井の終戦直後を舞台に、この作品は描かれています。
わずか3年の間に「福井大空襲・福井大地震・福井大水害」と言う役災で、家族5人中3人を亡くした爺様と孫娘が、けなげにめげずに生きていく様を「ほのぼのと」描いた心温まる作品です。
両親を亡くした孫娘は「親がいない」ただそれだけの理由で就職も出来ず、稼業である「九頭竜川の川漁師」を選びます。爺様に手ほどきを受け「鮎のプロ釣師」として育ちながら、3大役災で受けた虚無感を払拭して行く…そんな「日常を描いた」小説でした。

小説『九頭竜川』を読みながらSさんのことが頭を離れません。
菊作りの名人で、釣名人でした。私より2周り上の猪で、早く父を亡くした私に『親父』を感じさせてくれる人でした。
Sさんは、成行きで独立し「看板は上げたものの仕事のない日々」を送っていた私を応援し援助してくださった方たちの一人でした。
ある日、マージャン卓を囲んでいたとき「なあ、俺の鮎釣道具を貰ってくれへんか」と突然おっしゃいました。私は釣が好きですが、Sのように名人とは程遠く、海で船頭さんに連れて行ってもらい「この下に魚がおるで…」と言われて釣る不精な人間です。川釣などしたことがなく、まして高度な鮎釣などとても出来ません。それを申し上げたら、Sさんは「俺が九頭竜川に連れて行って教えてやる」とおっしゃいました。九頭竜川はSさんの鮎釣のホームグランドでした。
しかし、元気なSさんとお会いしたのはこれが最後でした。その後入院し、数度の心臓手術の後帰らぬ人となられました。今にして思えば.Sさんに何か予感めいたのがあったのでしょうか…


「弘法筆を選ばず」は大きな嘘です。
名人と言われる人ほど道具を吟味しています。釣雑誌の常連でもあるSさんの道具が粗末であるはずがありません。大切な道具を頂かなかったことで私はホッとしています。小説「九頭竜川」には、鮎釣の様々なテクニックが紹介されていますが、私のような未熟者が使えばSさんの名を汚すように思えてなりません…
(Sさんを思い出しています。…で画面がかすんでいます)
000526(金)無呼吸症候群検査編
「000401無呼吸症候群」「000411いびきの座学」でお伝えしたように、私はいびきから睡眠障害が起きており、昨夜入院検査を受けてきました。通常は、予備検査を経るようですが、診察時の問診で「余りのハイスコア」と言うことで、いきなり入院検査となりました。
お酒のない夕食を済ませ、指定された8時に「睡眠センター」に到着。
防音の施された病室で、検査方法の説明を受け、寝巻きに着替えて9時を待ちます。9時からセンサー類の着装と取り扱い説明です。
写真のように、鼻につけたセンサーは「鼻からの呼吸数」を記録します。胸につけたベルトで「寝姿のチェックと胸での呼吸数」の記録。喉につけたマイクで「いびき」の記録。指先に「血中酸素濃度測定センサー」を付けています。寝巻きの中になり、写真では見えませんが、「心拍数や血圧」のセンサーもつけられました。眠りに入る前に、自分で主装置にケーブルを繋ぎ「検査スタート」となります。


持参した本を読み始めました。気楽に読める時代小説を購入しておきました。
「眠い眠い病」を自覚し出した頃から「枕が変わると眠れない」ようになりました。若い頃、ハードな仕事を支えてくれた強靭な耐力の源泉は「どこでも一瞬にして眠る」特技でしたが、「眠い眠い病」が体質を変えてしまったようです。本を読み、出来る限り「眠気を我慢」して一気に寝ようと考えたのです。
用意した1冊を読み終えたのが11時15分。かなりの眠気です。ケーブルをセットし、作動したことを確認。明かりを消して「おやすみ」です。
しかし、なかなか寝つけません。センサーが正常に作動しているか?ナースの方がチェックに訪れる音を記憶しています。 それでも、何時の間にか寝入ったようです。


朝6時、装置を外しに来た技師さんのドアを開ける音で起きました。続いて、採血検尿を済ませ、朝食に出かけます。9時からは、レントゲン検査・心電図・肺機能と検査を受け、ドクターの診断を待ちました。
結果は凄いものでした。
センサーの作動時間「6時間半」の間に、『無呼吸状態が182回』記録されていました。1時間平均30回近いもので、要治療の目安とされている「20回/時」を優に超えるものでした。
いびきは、喉や舌が弛緩して気道を狭くすることからおきます。それがさらに進むと気道を閉じてしまうため『無呼吸』が起きます。無呼吸のままでは死んでしまいますから、脳から「起きろ」と指令がでます。
無呼吸の回数は、睡眠中に「覚醒する」回数でもあるのです。これではとても「熟睡」は出来ません、「1日中眠い」筈です。
治療には、手術(リスクの割に根本治療になるか?疑問)による治療と、対処療法があります。私はドクターの勧めで対処療法を選びました。7月の第1週に「4日間入院」し、酸素送入機の調整と着装置訓練を受けます。これは、口にくわえたマウスピースから強制的に空気を送り込むもので、慣れれば「最も安眠」出来る装置だそうです。ただ、出張時など利用できない欠点があり、これから「恐怖の外泊」になりそうです。

一般に、横向きに眠ればいびきが減ると言われていますが、私のような「剛の者」となれば、寝姿に関係なく「発生」していることが記録から窺えます。昨夜は「アルコール抜き」の検査でしたが、飲めばもっと凄いだろうと言うドクターの見解です。
呼吸が止まると血中酸素濃度が低下します。
脳の指令で呼吸を再開するときは「一気に血圧が上がって」います。私が心臓病を得たことと、いびきが無関係とは言いきれません。ちなみに、マウスピースで強制的に空気を送り込むことで「気道が確保」され、まったくいびきを掻かなくなるそうです。
慣れる必要があるようですが、20代の「静かな眠り」がまもなく戻ってきます。
000528(日)20年前の手紙
2000年@niftyホームページコンテスト・グランプリ作品に輝いた「大阪コドモ図鑑」と言う素晴らしい作品があります。
(お断りを入れて『リンク』しました。当HPからご覧頂けます)

その中に「20年後の子供へ」出す手紙の投稿コーナーがあります。親として、我が子の将来に寄せる思いが「ひしひし」と、あるいは「ほのぼの」と伝わる感動の手紙です。
素晴らしいものは、素直に「素晴らしい!」で良いのですが、そこが私の悪い癖で「分析」したくなってしまいます。
印象で言えば、「父親から息子に」が多いように感じます。
これって、普段「最も疎遠な仲」ですね!(この企画の心憎さが分かります)だからと言って、我が子を思わぬ親なんて居ません、親父のテレがそうさせるのです。父親は、母親と違い「身近な愛情」にどうしてもなれません、子供が苦境に至ったとき「親父の言葉を思い出す」そんな愛情だろうと思います。
000530(火)氷河期の就職戦線
前言訂正の必要がありそうです。先日「ダンボのつぶやき」にこんなことを載せました。
000526 ハローワークに求人を出しました
ただ事務所の事情を反映し『タイトな条件』がついています。そのせいで、まったく反応がありません。とかく、自堕落な生活と非難される若い人達ですが、実はとてつもなく「安定指向」であることが、こんなところに出ているようです。
出だしは遅かったのですが、昨日今日で4人の若者が応募してくれました。
年齢は23〜25歳(女性1名男性3名)の就職浪人です。採用枠は1名で、これ以上の面接は不要ということでハローワークには打切りを連絡しました。求人条件は
 1.大学卒業で25歳まで
 2.本給18万円+交通費(最大3万円)
 3.残業代なし(残業もない)
 4.各種保険なし
まさに、事務所の事情を反映してタイトなもので、好況時なら嘲笑されそうな条件です。こんな条件では「応募0ではないか」と覚悟もしていたのですが、意外な反響に驚いています。

昨年末、どうにも経営が行き詰まり「断腸の思いで優秀な社員を切った」こと。取りあえず受注を回復し、求人に至ったものの「決して経営が安定している分けではない」ことなど正直に話しました。さらに、この不安定な状況下で『生き残り』をかけて戦って行かなければなりません。安住を求めるならこれほど相応しくない職場ありません。 嘘ではありませんが、職場を求めてやって来た若者を「不安にさせる」に充分な私の説明にもかかわらず、誰もめげません。

それぞれ持っている個性は違いましたが(男女を問わず)こんな時代故に真摯なものを感じる若者達でした。
もし、私に甲斐性があり彼らを受け入れるだけの(全ての面で)能力があるのなら、全員を受け入れたいと思いました。
大学を出たけれど…はや5月も終わろうとしています。
「好きだからこの世界を選んだ」若者に、氷河期の現実が圧し掛かっています。
「給料は要りませんからチャンスを下さい」と言う言葉に、彼らの置かれた辛さが分かります。
私も辛いことですが、彼らの中から1名を選ばなければなりません。今晩悩んでみます…


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