dogfight高松の長すぎるひとり言
1999年2月

有言実行「粘り強い」のか「ひつこい」のか?ウオーニングレター近況雑感お客様2000年問題バリューエンジニアリング不愉快な報道ブランドプリペイドカード規制緩和
990202有言実行

今、老いらくの恋にも似た「胸のときめき」を感じている。
私とコンピュータの付合いは長い。以前、コンピュータ創造にまつわる記録を読んだことがあるが、我が国における最初の実用機(パソコン)からのお付合いである。そのくせ、「いまだにコンピュータのことなど何も知らない」私はいつも「ユーザー」として関わっている。

ベーシックの時代からソフト開発に関わり出した。あれから15年以上が過ぎた。
MS−DOSが出たときは「画期的なパソコンが出来た」と感動した。演算プロセッサーは「286(徒歩)」の時代である。それから「386(自転車)」「486(バイク)」とスピードが上がって行くが、現在の技術とは比べられるものではない。
「何でも出来る」ことは「重く遅いソフト」であった。頻度の少ないシチュエーションを切り捨て「いかに軽く早いか」を目指し、それを「特化する」と称した。若い人には想像もつかない「ばかげた時代」を経てきた。
ウインドーズはこれらの制約をきれいに取り払った。「何でもできる」ソフトが当たり前の時代になった。演算プロセッサーは「ペンティアムやK6」に代わった。自動車やプロペラ機をすっ飛ばし、いきなり「ジェット機」の時代を迎えてしまった。更に「ロケット」を目指し進歩している。
「重い」ことが何の制約にもならない時代になり、滅多に使うことのない「機能」をふんだんに盛込んだソフトが当たり前になった。
新しい時代に私は「悪戦苦闘」している。CADをウインドーズに切替えたとき、習熟するのに3ヶ月掛った。
MS−DOS時代「ソフトのもつポテンシャルの何割を使えたら『名人』と言えるか」と言った話題が出たことがある。その時は「70%以上」で意見が一致した。「何でもあり」の今ならさしずめ「50%以上」ではないだろうか。
CADを切替えて2年。今は50%以上の域に達していると思う。使い慣れたワープロを捨て「ワード」に切替えたが、戸惑いを乗り越えるに充分な魅力があった。私のリポートは多彩になり表現力が豊かになった。これも今は50%の域に近づいている。
そして今、「エクセル」に挑戦している。エクセルのもつポテンシャルに驚くばかりだ。残念ながら、マクロを知らないため「大きな壁」にぶち当たっている。息子に教えを請うたら「子供が先生か」と笑われた。私は、教えを願う人は「師匠だ」と答えた。マクロを我が物にすれば「とてつもない大海原に出られる」そんな期待を持っている。

私は「ほらふき」である。すぐに出来もしない「夢」を公言する。人に笑われるが一向に構わない。公言したことで「自分を鼓舞」している。半年一年では無理でも5年10年掛ければできる。いつか実現できれば良い。
事務所を始めたとき、大先輩に「OA化」の未来を語った。コンピュータがまだ「とてつもなく高い」ときであった。私は10掛けてそれを実現している。

「有言実行」が私に一番似合っている。ビデオで「アポロ13」を見ながら、あの頃のスーパーコンピュータは「今のパソコンより能力が低いだろうな」と、息子と語った。

時代の流れはとてつもなく速い。かって先頭を走ったこともあったが、今は殿をとぼとぼ付いていく。それでも挑戦を諦めない。

990203「粘り強い」のか「ひつこい」のか?

建築屋は粘り強い。しかし、人には「ひつこい」と言われることが多い。

医療機器販売会社としては大手に属するM社の社長にお会いしてきた。事の起こりは8年前に溯る。当時、バブル覚めやらずと言った時期の出来事である。
M社長から、社長が個人的に出資しているある会社の「用地活用」を依頼された。現地調査して驚いた。「猫の額」ほどの土地が「露地の奥」にある。とても活用どころの話ではない。幸い隣接地も「猫の額」ほどであるが、両方合せれば「何とかなる広さ」になる。そこで「共同事業」を呼びかけたが「双方強気」で話がまとまらない。

月日は流れ、世の景気は末期的症状を呈してきた。2年前、再度M社長から「土地活用」を依頼された。古証文のような計画資料を引っ張り出し、某大手デベロッパーに話を掛けてみた。時節柄100戸単位の開発に乗り出す元気はないが、「20戸程度なら手軽」と話に乗ってきた。そこで隣地の所有関係を調べたら「不況で倒産し競売に掛かって」おり、Mリースの所有になっていた。デベからMリースに売却の話を持ち掛けたら「売る気はない」との返事。どちらか一方だけで活用できるような土地ではない。「気長に待とう」と言うことになったのが1年前である。

この1月にMリースから「土地を購入して欲しい」との依頼が来た。こうなればM社長の意向を再度確認する必要がある、そこで社長との会見となった。1週間ほどで返事するとのことで予断を許さないが、我ながら「粘り強さ(ひつこさ)」に呆れてしまう。最も、口の悪い奴に言わせれば「諦めが悪い」と言うことになろう。しかし、建築屋はこうして受注に結び付けている。「福は内」であることを願おう。

990204ウオーニングレター

シンガポールにいる友人が「ウオーニングレターを書くのが仕事」とぼやいていた。永く、英国の植民地であったかの地では何かと英国風が根づいている。欧米社会は「訴訟社会」であり、問題点が訴訟に発展した場合に備え「警告しましたよ」と言う証拠を残すため、このウオーニングレターを頻繁に出すそうである。
日本ではあまり馴染みのない制度であろう。しかし、私は頻繁にウオーニングレターを出す「珍しい日本人」である。ただし、訴訟に備えてではなく「クライアントの利益擁護」のためである。

一部の有名建築家を除けば設計事務所の立場は極めて弱く、専門家のアドバイスを素直に受け入れるクライアントが少ない。不利益になることも気付かず、クライアントから「指示(相談ではない)」がでることがあり、たちどころに10余りの欠点を指摘できような内容が多い。自分にとって有益な「代理人」と言う捉え方より「自己満足」で利用されることが多いからであろう。
また、設計事務所もクライアントの利益より、自分の利益を優先する人が多いことも事実である。いわば玉石混合で、素人には「本当に味方か?」分かりづらい現実がある。(以下略)

990211近況雑感

スペインより手紙が来た。事務所全員「呆然」誰もスペインを理解できない。
昨年のスペイン旅行でドン・キホーテの里「ラ・マンチャ」に寄った。その際、現地の少年達に写真をせがまれ数枚写した。 陽気な少年達で、突然道路にしゃがみ何かをかき出した。「きっと、住所やで!」と想像していたら、やはりそうであった。言葉は通じないが、態度で分かる。

英語で書いた簡単な手紙にクリスマスカードを付け、必要分を焼き増しした写真を送った。
「郵便事情もいい加減」と聞いていたので、着いたかどうか心配していたが、返事がきたところを見ると無事だったようだ。最初の「ハロー」と最後の「アディヨス・グッバイ」しか読めない。同封されていた絵葉書は現地のホテル、きっと「街で一番立派な建物」なのだろう。
そんな田舎町であった…

その後、知合いを辿って、在住スペイン人の方に「スペインからの手紙」を翻訳して頂いた。こんにちは。(我々が写真とクリスマスカードを送ったことに対して)とても嬉しかったので私もLa Piaza de Puerto La‘piceのポストカードを送ります。
また、クリスマスに(カードを)お互い送り合いたいな!それではバイバイ
こんな内容の手紙であったそうだ。
翻訳氏のコメントがついており「もし、クリスマスカードが同封してなければ返事はなかった」だろうとのこと。
事ほどさように「不精な国民性」だそうである。でも、かの地の少年少女が「本当に喜んでくれた」と私は思っている。

オーストラリアからも絵葉書が来た。○○君はかの地の生活の戻ったようだ。彼には「日本での研修」」がかなりの衝撃であったようだ。文面からそれが伝わってくる。
いつかオーストラリアに行ってみたい。そして、彼のその後を見てみたい。
私にまた「生徒」が出来たようだ。

M社長から連絡があった。
例の話は、おばあちゃんの「ここで死にたい」と言う希望でまたもや中断を余儀なくされた。
こんなことがとっても多い。でも「建築屋は粘り強い」のだ。またいつか再燃するであろう。

990214お客様

昨夜、自治会の引継ぎ会を行った。
私は抽選で会長を引き当てたが、同じことはしたくなかった。適材適所が理想に違いない。そのため抽選方式ではなく「ドラフト会議」方式で「逆指名」つまり、希望する役職を「自主申告」してもらい。ダブったところだけ話し合いで調整していった。

見るからに「やる気のない」人には、比較的重要でないポストに付いていただいた。4役(会長・副会長・会計・書記)がしっかりしていれば運営は出来るであろう。4役のリーダーシップで負担の公平化が出来れば「誰がどの役」でも大差ない。その意味では「概ね目論見通り」になった。
4役以外では「お客様」意識丸出しである。私に食って掛かる人も何人かいた。「仕事があるから余り自治会活動は出来ません。それでもいいですか!」と…
ここには二つの間違いがある。「仕事がある」ことを免罪符と勘違いしている。今時誰でも仕事がある。かって、仕事を理由に約束を簡単に破る人の話を書いた。その意識と何ら変らない。年度が変り、自治会活動がスタートすればいやでもその現実に突き当たるであろう、それとも、いつまでもお客様意識で4役を悩まし続けるのであろうか?
次に、引継ぎをしている私に「充分活動できない」ことの了解を求めてきていることである。これには「筋違いの要求である」とはっきりお答えをした。私は「去っていく」人間であり、去った後の出来事に責任など持てる筈がない。周りでその出来事を聞いていて、私の意見に賛意を示した人たちが、結局「4役」をすることになった。

まもなく「最後の自治会活動」である「駐輪場の整理」が始まる。有料駐輪場の整然さと、無料駐輪場の雑然さにあきれる思いがする。「身銭を切る」ことがなければ真剣になれない悲しさ…私はこの1年「駐輪場の有料化」を唱えてきた。私もまた、まもなく「お客様」に戻ろうとしている。

9901162000年問題

馬鹿げた話である。
コンピュータのカレンダー機能を6桁で管理していたため、西暦2000年にコンピュータがパニックを起すと言うものである。
従来通り6桁で西暦2000年1月1日を表現すれば「000101」となる。この「00」を1900年と認識するそうだ。何故そうなるのか分からないが、そのために様々な不都合が起きる。


数年前から2000年問題が指摘されていたにもかかわらず、最近まで6桁管理のICチップが使われており、その数「5億とも50億」ともいわれている。更に始末が悪いことに「どこに使われたか?」分からないため、完全な対策が不可能な点にある。
コンピュータが「2000年」を刻んだ瞬間に停電の可能性すら指摘されている。とてつもなく長い配電ルートのどこかに「6桁チップ」が一つでもあれば停電すると言われ、我ら市民レベルでは「どうすることもアイキャンノット」の世界である。既にアメリカは「2000年の瞬間」に飛行機がフライとすることを禁止している。事ほどさように「危険」で予測不能な事態を迎えようとしている。
当社もコンピュータなしでは、1日たりとも暮らせないシステムになっているため、この問題を避けて通れない。ただ、1900年と認識して格別パニックが起こるかと言えば「そんなことはない」図面の作成年月日の管理ファイルが「100年前の図面」を作りだすだけである。人間がそれを「認識」してやれば、不自由であっても何とかなる。しかし、今年のように「除夜の鐘」を聞きながら仕事をすることは慎んだ方が良いようだ。

なぜ、「6桁チップ」ができたのか、若い人には理解できないであろう。
当社が最初に導入したCADはフロッピーディスク(1メガバイト)でデータ管理をしていた。これには二つの分けがある。今でこそハードディスクは安価でギガバイト(1GB=1000MB)の時代であるが、かっては性能も低く高価であった。資金に合せて逐次システムを充実していったわけであるが、最初に購入したハードディスクは40MBであった。それでも最新のHDであり、とてつもなく高かった。
今、一枚の図面で70MBを超えることがある、昔を知る私には「信じられない」世界に入っている。

演算プロセッサーにも同じことが言える。
以前述べたように「いかに軽く作るか」が命題の時代があった。カレンダーとは言え「8桁を使うのがとっても惜しかった」たった2桁の節約に鎬を削った時代が懐かしくもある。それが今混乱を招いている。

990217バリューエンジニアリング

バリューエンジニアリング(VE)はアメリカで生まれた制度である。しかし、日本に入ると見事に変質した。
アメリカは「風圧60kg/uに耐えるガラス」と言った仕様設定を行い、それに対し我が国では「フロートガラス厚6m/m」等と仕様設定する。性能指定と材料指定の差がここにある。

設計には「目標とする性能」が必ずあり、性能を満足する方法は各種考えられる。我が国では、性能を満足する方法を設計者が決め「材料指定」の形で表現する。ここで問題なのは、「設計者のこだわり」としての材料指定と、「性能を求めて」材料指定する場合の見分けがつき難いことである。これは、建築士制度の違いに原因がある。
我が国では「一級建築士」はオールマイティーである。しかし他の国では、デザイン(機能)設計をアーキテクチャー(建築士)が行い、性能設計はエンジニア(技術者)が行う。つまり、「こだわりと性能」が別のセクションで設計されるため明確に分離している。余談だが、欧米で尊敬を受けるのは「アーキテクチャー」である。
しかし性能指定とは言え、ある程度の「材質や工法」は指定されるようだ。それが「VE提案制度」を生む土壌となっている。施工者は「設計図書に指定された性能(仕様)」を満足する「材料や工法を提案」でき、それによって「削減できる費用を提案者である施工者とクライアントが折半する」制度である。

バリューエンジニアリングの根本は「性能を低下させることなくコストダウンを図る方法の提案」である。しかし我が国では、施工者が「真摯な提案」を行っても、メリットをクライアントが一人占め(工事金の削減に転用)する傾向が強く、ゼネコンは対抗手段としてスペックダウン(仕様の低下)を提案するようになった。つまり性能を下げて値段を下げる手法に変化してしまった。更に悪いことは、セネコンは「浮いた費用」を正直に申告せず、できるだけフトコロに入れようとすることだ。
悲しいことだが、我が国には「クライアントと施工者に信頼関係」がなく、どこか疑心暗鬼で「騙しあい」の傾向がある。
私は一度だけであるが、VE制度を両者に提案し施工したことがある。「利益は折半」の原則を明確にし、その代わり施工者には「一切隠し事をしない」ことを約束させた。提案が利益に結びつくと、結構人間は真剣になる。中には却下した案もあるが、思わず唸ってしまう「画期的な提案」もあった。この試みは私に思わぬ知識を与えてくれた。

単価は材料費+施工費によって決められる。材料費は目で見えるため分かりやすいが、施工費は分かり辛い。しかも人件費の高い我が国では施工費の比重が高く、工法の工夫によって思わぬコストダウンが可能になる。
VE制度の実験で得た知識を、その後の設計に生かしている。しかし、ゼネコンは工法の工夫をコストダウンに結び付けるのが下手なようだ。結局、コストダウンを考慮した設計のメリットがクライアントに還元されず、ゼネコンも見過ごし、実際に施工するサブコンの利益に帰しているのが現実である。
残念ながら、「コスト感覚」の成熟が遅れているようだ。

990218不愉快な報道

昨夜、朝日放送のニュースステーションを見た。
クルド人(トルコ・シリア・イラク3国にまたがる広大な山岳地帯「クルディスタン」に住み、クルド語を話す人々。特定の民族をさすものではない。人口2〜3千万人)指導者/オジャラン氏逮捕に対し、世界に散らばるクルド人から抗議行動が起こされた。その報道を行っている。報道からは「正義の人オジャラン氏が不当逮捕」されたと言わんばかりである。
オジャラン議長はクルド武装戦線の指導者で、世界各地でテロ活動を行っており、数カ国から「指名手配」を受けていた。朝日放送のニュースステーションでは、この「逮捕理由」を一言も触れずに、人権無視と言わんばかりの報道であった。知らない人が見れば「勘違い」するだろう、見事な誘導報道である。元々、被害者の人権は無視し、加害者の人権保護に熱心な局の面目躍如と言ったところか。

つい先日も誤報事件があった。「所沢のホーレン草がダイオキシンで汚染されている(それもとてつもない量で)」と報道し、所沢産の野菜が「引き受け拒否」された。
3日後に誤報と分かったが、その間「風評被害3億円」に達するそうだ。しかし「一言も誤報であった」ことを詫びていない。他のマスコミも「朝日放送やHKニュースキャスター」を非難したが「カエルの面に小便」である。ここでも被害者の人権を無視し、加害者(本人)の人権を大切にしている。

特定のイデオロギーに基づく報道があっても良いと思う。ただ、それを明確にするべきである。いかにも「公正中立」を装い、特定のイデオロギーに基づく報道を行うのは卑怯である。オジャラン報道に見られるように「逮捕に対する抗議報道」を大々的に行うくせに「テロ行為の事実や逮捕理由を一切報道しない」態度は明らかに情報操作である。「報道しない自由」を謳歌するマスコミが多すぎるように思う…

990119ブランド

私は長年、一澤帆布のバックを愛用している。元々、一部のマニアに愛用されていた店で、お客が自分で描いた「図」を持ち込んで「私だけのバック」を作ってもらう店であった。口コミで人気が出、5年ほど前から「既製品」だけになってきた。

私のバッグも穴だらけとなり、新しいバックを購入するため昨日「京都の一澤帆布」に行って驚いた。僅か3点の商品があるだけ、「それ以外はサンプルから選んで注文を」とのこと。お届けは5ヶ月後に郵送で…
なんとも不自由になったものだ。オーダーメイドどころか「選ぶ権利」もなくなった。おまけに5ヶ月後しか手にすることが出来ない。一部マニア愛用の品が「ブランド」に変化していく様を寂しく感じるのは私だけであろうか?

990119プリペイドカード

関西は「私鉄大国」と言われる。関東のほうが私鉄営業線は多いと思われるが、何故であろう。ただ、車両は美しく、自動改札機、自動切符販売機等々「自動化」の点では関西が群を抜いて進んでいる。

5年ほども前になろうか、大阪市地下鉄・阪急・阪神・北大阪急行・能勢電鉄の5社共通のプリペイドカードを販売し、今ではすっかり定着した。更にこの4月、南海・京阪等の4社が参加するそうである。近鉄も参加表明しているが、図体がでかいだけに対応が遅れているようだ。
昨日、JR西日本の「Jスルー」ネットが完成し、運用を始めた。前述のプリペイドカードに対抗し、JR独自のプリペイドカード用システムである。いずれにしろ、2枚のカードを持っていれば切符を買う必要もなく、便利この上もないシステムである。
記憶に間違いがなければプリペイドカードの元祖は「テレカ」であったと思う。
その後、パチンコ用のプリペイドカードと合わせて「偽造変造の嵐」に見舞われている。しかし、鉄道用のカードに「変造偽造」の話がない。同カードは統一図柄で作られており、プレミアが付くような要素がない。また、換金性もない。更に「電子管理」と合わせて「印刷管理」をしているのが、偽造変造を許さない原因ではないかと思う。カード裏面に利用区間をプリントするシステムになっており、この欄がいっぱいになると「カードを切替える」ため、変造に利用される「再利用」が出来ないシステムである。

今は「関西」のシステムであるが、いずれ全国に波及するかもしれない。

990220規制緩和

息子と「規制緩和」に付いて議論になった。
我が国は先進国中「最も規制の多い国」と言えるであろう。
理由は二つ考えられる。まず、規制が「利権化」しそれによって利益を得ている人が多いこと。次に、国民が自己負担を嫌がり「安全を国に委ねている」ためであろう。
しかし、今急速に「規制緩和」が広がっている。国際圧力に加え、国内でも「規制緩和論者」が台頭してきている。ただ、これら知識者が「善意」であるかと言えばはなはだ疑問である。息子に言わせれば「規制緩和も利権化しているのでは?」と思える。なぜなら「規制緩和=良いこと」と必ずしも言えないからである。その意味で私は「規制緩和懐疑論者」と言える。

最も規制緩和の進んだアメリカでは弁護士が大量発生し、国民は「自己防衛におおわらわ」と言う現実がある。
規制緩和には「政府による国民保護の放棄」と言う側面がある。
規制緩和は行政コストを削減できその点では「良いこと」なのだが、規制緩和によりビジネスチャンスが広がっただけトラブルの発生も増えることになる。そのトラブルから「身を守る」のは自分自身になる。
決して「政府によるトラブル解決や、保護を期待」しての規制緩和はありえない。現にPL法(製造物責任法)が数年前に施行されたが、これは「自分を守る」法的裏付けを作ったものであり、「政府はもう介入しませんよ」と言う意思表示である。

先ほど「規制緩和も利権化しているのでは?」と述べた。何故か?規制緩和論者が、この「自己防衛が必要」なことを決して口にしない「胡散臭さ」がある。
分かりやすく言えば「自由にしてください。でも政府は責任取れませんから、ちゃんと自己防衛してくださいね」と言うのが規制緩和の正体である。
才能があり、自己防衛できる人には「素晴らしいチャンスの広がり」であろうが、出来ない人には「これほど危うい時代」はないであろう。

ソ連が崩壊し国民は一時喜んだが、また「共産主義時代」を懐かしむ人が増えている。
才覚のある人には素晴らしい時代の到来であったが、「保護されることに慣れた」国民にはやはり辛い時代と感じているからではないであろうか。

建築の世界にも「規制緩和」の波が押し寄せようとしている。
昨年6月5日に「建築基準法一部改正」が国会を通過し、2年間の細目整備と周知期間を持って公布された。
我が国では「不動産で資産形成」を行うことが多く、規制緩和を命題とした建築基準法一部改正が、来年6月に施行されれば国民を直撃するであろう。
この規制緩和は、今は小波にもなっていないが、数年後に「嵐」となって押寄せるであろう。マスコミはいつも「庶民の味方」を気取り、声高に「規制緩和」を叫ぶが、現実に立法化された「規制緩和」を報じたマスコミはない。

その概要を説明する。(当社主催の勉強会資料から)

  1.
日照規定の廃止
北側しか採光の無い建物は基準法の上で禁止されていましたが、この条項が廃止されました。しかし、近畿では「西宮市」以外では既に「死文化」しており、あまり影響がありません。

  2.
採光規定の緩和
□採光斜線制限が一定の距離を確保すれば「無限」となります。一定の距離が「何メートル」か?自治体によって異なる事になります。しかし、商業地域の5mより大きくなりそうです。
□居住のための「居室」以外は採光が不要になります。例えば「書斎」は不要になる。しかし、何が必要で何が不要か?が固定されるまで時間が掛かりそうです。
・採光斜線内しか「採光が有効」ではなかったのですが、斜線外でも「採光面積(外部への窓)が居室面積の1/3〜1/5以上あれば有効(自治体で決まる)」となります。
□地下に居室ができる事になりました。
注1:建築基準法では「容積率」を定めている。これは「敷地面積の何倍まで建設OK」と言った規制である。現実には「採光規制」の方が厳しく、許容された容積を使い切るには「恵まれた条件が必要」であった。それを緩和し、限度いっぱいまで活用を促す改正。

  3.性能規定化
今まで「基準法」で性能が定められていましたが「一定の基準」を満たせば、仕様・設備等が自分で設定できます。
これは、今後「台風の目」になりそうです。組織ごとの「自主性」が問われる事になります。当然「性能の設定」には、入念な施主との打合せ、同意といったものが必要になります。契約には「弁護士が同席」となるかもしれません。また、独自の性能が規定できない組織は淘汰されかねません。(今後の勉強が大事)
注2この緩和は、今後発展していくと思われる。現在「構造強度」は基準法で定めていますが、将来「自由化」されるでしょう。つまり、クライアントと設計者の合意により「不必要な強度」を持つ必要が無くなります。例えば、30年の定期借地権の土地に「50年持つ建物」を建設する必要はありません。

  4.連担設計制度
隣接する「土地」と、共同化する事無く「容積率」を融通する事ができます。
組織として「交渉力」を問われる設計制度です。(今後の勉強が大事)

注3これも重大な内容を含んでいます。
道路幅員により容積率に制限がありましたが、隣接地と連担することにより「既定値」まで利用できます。(道路幅員による「価値」を決めた、路線価の意味が無くなる)
隣接地で余っている容積を連担によって、買い取ることが出来ます。また、余っている容積も売却でき「コスト削減」できます。
連担によるメリットはどのように「金額」に換算されるのでしょうか?(不動産鑑定)

関係法規が未整備で「分からないことだらけ」です。しかし、疑問なら呈することができます。
買い取った容積は「権利として登記」できるのでしょうか?
担保として評価されるのか?
土地売買が生じたとき「その値段」は?
相続で継承できるのか?
定期空中権借地?
容積買い取りに使用した資金は「どのように税務処理」されるのか?

  5.建築確認、検査の民間開放

2〜4の項目が「貴方の財産を直撃」する内容です。
分野も建築だけではありません。弁護士・不動産鑑定士・司法書士・宅地建物取引主任・会計士と言った業界に波及する問題です。
ただ、何故か彼らも恐ろしく「無関心」です。知識を持ったクライアントが「有能なこれら有資格者」を動員できれば、とてつもないビジネスチャンスに繋がり、反面「無知から損な取引き」に応じる人も山ほど出てくるでしょう。
ビジネスチャンスとトラブルは背中合わせなのです。

否応なく、規制緩和に晒されていくでしょう…貴方が「有能であること」を祈ります。



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